いま、教育を「デザイン」という視点から捉え直す必要があると考えています。
私は多くの学習ゲームを開発してきました。学習ゲーム開発はまさに「デザイン」でした。
子どもが思わず取り組みたくなる。
わからなかったことに、もう一度向かいたくなる。
友だちの考えを聞き、自分の考えを試したくなる。
できた、わかった、もっとやりたいという動きが、自然に生まれてくる。
そのような学びは、偶然に起こるものではありません。そこには、教材の構造があります。問いの置き方があり、ルールがあり、順序があります。反応があり、集団の動きがあります。つまり、学びが起こるための「デザイン」があります。
これまで私は、小学校の教師として教室に立ち、その後、学習ゲーム、算数ソフト、授業用教材、教育書の出版に関わってきました。しかし今、それらを単なる経験の積み重ねとしてではなく、「教育をどうデザインするか」という新しい視点から捉え直しています。
子どもは、どのような条件のもとで学び始めるのか。
教師は、どのような道具や構造を得たときに、よい授業をつくれるのか。
教室は、どのようにすれば、子どもたちが自分から動き出す場になるのか。
教育デザイン総研は、この問いを中心に据える研究所です。
ここでいう「デザイン」とは、見た目を整えることではありません。教育を、実際に働く形にすることです。子どもの行動が変わるように、教材を設計する。教師の判断が働きやすいように、授業を設計する。集団が学びに向かうように、教室の環境を設計する。そのための原理を研究し、実践に使える形にしていくことです。
学習ゲームは、その出発点でした。ゲームには、子どもを動かす仕組みがあります。目標があり、手順があり、反応があり、次に進みたくなる構造があります。よくできた学習ゲームは、子どもに「勉強しなさい」と命じなくても、学習行動を生み出します。そこに、教育デザインの本質があります。
教育デザイン総研は、現場から離れた抽象的な研究だけを目指すものではありません。同時に、単なるノウハウの紹介にとどまるものでもありません。現場で起こっている事実を丁寧に見つめ、その背後にある原理を探ります。そして、その原理を、教材、授業、研修、出版、ICT、学校づくりへとつなげていきます。
教育は、人の内面に直接命令することではありません。子どもが学び始める条件を整えることです。教師が力を発揮できる条件を整えることです。学校がよく変わっていく条件を整えることです。
その条件を研究し、設計し、実践に返していく。
それが、教育デザイン総研の仕事です。
教育デザイン総研は、「教育をデザインする」という新しい枠組みを明確に打ち出す場として立ち上げられました。子どもが動き出す教育。教師が知的に仕事をできる教育。学校が少しずつよくなる教育。その実現に向けて、新しい視点と方法で研究と実践を進めてまいります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
教育デザイン総研
所長 横山 験也
